アントワーヌ・バルドー=ジャケ監督作「ムーン・ウォーカーズ」("Moonwalkers" : 2015)[DVD]

アポロ11号の月面着陸の捏造映像の製作をキューブリックにオファーするという特命を受けたCIAエージェントが、借金まみれの男の詐欺に遭った事で、予期せぬ事態に見舞われていく様を描くコメディ作品。

 

1969年。CIAエージェントのキッドマンは、ベトナム戦争における三年間に及ぶ特殊部隊を率いた過酷な任務を終え、帰国を果たすも、PTSDによる幻覚や幻聴に苛まれる。キッドマンは休息を取る間もなく上官に呼び出される。上官はアポロ11号の月面着陸に成功の確証が無い事を明かすと、失敗すればソ連に先を越され、米国が世界中の笑いものにされる事を危惧する。上官は失敗に備えて月面着陸の映像を製作する必要性を説くと、それを「2001年宇宙の旅」で高い評価を受けたスタンリー・キューブリック監督に依頼すべく、キッドマンにハリウッドの大物プロデューサーを騙る事で、ロンドン在住のキューブリックのエージェントに接触を図った後、大金を提示してキューブリックを口説く様に命じる。

ロンドンでしがないロックバンドのマネージャーを務めるジョニーは、バンドをデビューさせるべく日夜奮闘し続ける一方で、ヤミ金で作った借金の返済を迫られ困窮する。ある夜、ジョニーはバンドをスカウトがかかったライブに出演させるが、バンドが客とトラブルを起こした事でチャンスをふいにする。ボーカルのグレンはジョニーの不甲斐なさに嫌気が差し、マネージャーの交代を言い渡す。ジョニーはあと二日欲しいと請う。アパートに帰宅したジョニーは、ヤミ金組織に荒らされた部屋を目の当たりにするが、バンドが契約まで漕ぎ着ければ何とかなると高を括る。一方、キッドマンは渡航中の機内で隣席の男にコーヒーをひっくり返され、資料中のキューブリックの写真が滲んで判別が付かなくなる。

ジョニーはいとこでエージェント会社を営むデレクの元を訪ねると、バンドのレコードデビューへの協力を打診し、音楽業界の人間を紹介する様に請う。デレクはジョニーがでたらめで口先ばかりだと詰り、拒否する。ジョニーは金を貸して欲しいと頼み込むが、デレクはそれをも拒否する。ジョニーはデレクがオフィスから離席した隙に、デスクの引き出しから金を盗み出そうと企てる。そこにキッドマンが訪れ、ジョニーをデレクと誤解し、商談の話を始める。ジョニーはキッドマンがキューブリックへのオファーに伴い、大金を準備している事を知ると、デレクを装って話を合わせ、キューブリックを同席させて会う約束を取り付ける。

ジョニーは早速、同居人の役者で髭を蓄えるレオンを強引にキューブリックに仕立て上げ、キッドマンから金を詐取しようと企てる。ジョニーは弱気なレオンをコカインで奮起させ、待ち合わせのホテルのロビーに同席させる。レオンはキューブリックを装い、キッドマンから極秘プロジェクトに関するオファーの内容を聞く。ジョニーは内容を聞かされぬまま、前のめりでオファーを承諾する。キッドマンは失敗すれば深刻な事態を招くと釘を差し、ケースを手渡すと、明朝連絡すると告げて、その場を後にする。

帰宅したジョニーとレオンはケースをこじ開け、企画書と共につめ込まれた大金に驚く。ジョニーは見つかるはずが無いと高を括り、早速パブへ繰り出して散財する。その様子をヤミ金組織のメンバーが目撃する。一方、キッドマンは宿泊先のホテルで、テレビ出演するキューブリックの顔を見て、騙された事に気付き、激怒する。

翌日、キッドマンはデレクのオフィスに押しかけ、ジョニーの居場所を聞き出す。一方、パブの様子を知ったヤミ金組織の幹部ポールは、手下を率いてジョニーの部屋に押しかけ、ケース毎大金を奪い去る。キッドマンはパブを訪ねると、屯するゴロツキ共を血祭りにあげ、ジョニーのアパートの住所を聞き出す。

ジョニーはバンドに使う為の金を失い、失意に暮れる。レオンは徐ろに、キッドマンがCIAエージェントであり、オファーの内容が月面着陸の捏造映像を撮る事だと明かす。ジョニーは殺されかねない事に愕然とし、逃亡を図るべく、レオンと共に身支度を始める。そこにキッドマンがやって来る。ジョニーはケースがヤミ金組織に盗まれた事を明かすと、顔が利く監督を紹介する事で、自分達で映画を作る様に提案する。憤慨したキッドマンはジョニーを殺そうとするが、ジョニーは月面着陸まであと数日という時に、監督が見つからず、金も失ったとは上司に言えないだろうと説き、命乞いする。キッドマンは已む無く、ジョニーの提案に応じる。

ジョニー達は郊外のヒッピーが屯する古びたビルにスタジオを構える、芸術家肌の映画監督レナータスの元へ訪れる。レナータスは月面着陸という映画の趣旨に興味を示すが、キッドマンが7日で撮るように強要すると、レナータスは難色を示す。ジョニーが頼み込む事で、レナータスは応諾し、レオンを主役に据える事を決め、制作費とギャラで大金が必要だと説く。キッドマンは慄くジョニーを連れて、ヤミ金組織のアジトへ金を奪い返しに行く。

キッドマンは護衛を倒してショットガンを奪うと、アジトの内部に押し入る。キッドマンは、組織のボスのドーソンにショットガンを突きつけ、ケースを返すように要求する。キッドマンはドーソンの手下の頭部をショットガンで吹き飛ばし、ドーソンを恫喝すると、ジョニーにケースを奪わせ、アジトから脱出する。ジョニー達がレナータスのスタジオに戻ると、程なく、アポロ11号ロケットが発射される。

レナータスは独自の演出プランをキッドマンに真っ向から否定され、へそを曲げる。ジョニーは三倍のギャラでキッドマンの指示通りに作る様に頼み込み、間もなくセットや小道具の製作が始まる。スタジオ内に月面が再現され、探査船のレプリカが組み上がり、宇宙服の衣装が出来上がる。一方、ポールは手下を率いて、ジョニーの捜索に奔走する。

キッドマンはレナータスが無断で出演者を増やし、その為のオーディションを始めた事に苛立つ。キッドマンはレオンから苛立ちを抑える為のマリファナを勧められ、CIAで訓練された自分には効き目が無いと高を括りながらも一服する。ところがその中にレオンがアヘンを混ぜていた為に、キッドマンはラリってしまう。その後、キッドマンはスタジオに居候している女エラから、頭痛薬と称して受け取ったLSDをそうとは知らずに飲んでしまい、更にハイになる。キッドマンは思いがけずエラに惹かれていく。

程なく、撮影の準備が完了するが、レナータスの意向でリハーサルは行われず、翌日の本番を迎える事になり、ジョニーは不安を抱く。キッドマンはドラッグに加え、PTSDによる幻覚と幻聴に苛まれ、映画を作る意欲が失せる。キッドマンは上官への定時連絡を行うも、酩酊状態で進捗を正確に説明できぬままに電話を切り、上官は業を煮やす。

翌朝、CIAから派遣された部隊がスタジオに到着し、惨状を目の当たりにする。部隊を率いるホワイトは作戦の指揮がキッドマンから部隊に移った事を伝えるが、キッドマンはあとは撮影だけだと説き、スタッフ達に準備をさせる。一方、ジョニーがスタジオにいる事がドーソンに察知される。

キッドマンは映画を完成させるまでは無事でいられると説き、ジョニーに撮影をやり遂げる様に促す。オルドリン役のジョニーとアームストロング役のレオンは、宇宙服の衣装を身に纏い、撮影の準備に臨む。レオンは緊張を解す為にマジックマッシュルームでハイになっている事を明かす。ジョニーは正気を保って撮影をやり遂げる様に諭す。程なく、アポロ11号が月の軌道に入る。

スタジオからCIA本部に映像が送信され、撮影が始まる。まずレオンが探査機から月面に降り立つも、ラリった影響で台詞と演技がままならず、その酷い有様を見てCIA本部の面々は呆然とする。キッドマンもまた呆れ果て、トイレに向かう。その時、建物にヤミ金組織の軍団が押し入り、CIA部隊と激しい銃撃戦が始まる。キッドマンはCIAの男からショットガンを奪い取ると、戦闘に加わる。やがて部隊と組織は共に全滅すると、キッドマンは一騎打ちの末にドーソンを殺す。そこへホワイトが現れ、不意を突いてキッドマンに銃を突き付ける。その背後からジョニーが発砲するが、外れてしまい、ジョニーは衝撃で気絶する。キッドマンはホワイトの背後から斧で殴りつける。ホワイトは斧が刺さったまま、スタジオに向かい、レオンが月面の上に建てた米国旗に倒れかかって死ぬ。その様子を映像でCIA上官が目の当たりにする。

キッドマンは目覚めたジョニーとレオン、エラを連れて、逃走を図る。やがて一行はスペインへ到達し、そこでアポロ11号が月面着陸を果たしたとされる中継映像を見る。

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